過去ログ - トール「フィアンマ、か。……タイプの美人だ」
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107: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/06/07(土) 22:22:24.71 ID:7eE3JAEj0

ほとんど眠ってしまいそうな様子で、青年は唇を舐め。
酒をまた一口飲むと、完全に酔いながら。
それでも、ひとかけらも隠しのない本心のままに。

「一度だけでいいから、…会って、……こくはくできたら、それで」
「………」

振られたら、それでいっそあきらめがつく。
会えない、見つからないというのが一番辛い。

「……………何だかなあ…」

フィアンマから聞かされた、トールの事情と。
目の前で彼女を求める、トール本人。

どちらの意思を尊重するべきか。

魔術師という生き物は、迷った時、実に個人的な選択をする。
それが良識に適っていなくても、自分の気分が良い方を選ぶ。
だから、ウートガルザロキはいつも通り騙すことを決めた。

ただし。

十年間騙し続けてきたトールではなく。
十年間、約束を守ってきたフィアンマに対して。

(そもそも、会う度にフィアンマちゃんもトールのこと口にしてるし)

元気なのか、変わってはいないか。
恋人は出来たのだろうか、自分のことはやはり思い出していないだろう。

会う度に、そんなことを言いながら目を伏せる姿を何度見ただろう。
正直に言って、ウートガルザロキはそういう女性の姿は好きになれない。
そして、彼女達が幸せになれるなら、泥を被るというのも悪くない。

(フィアンマちゃんからぶん殴られてもいいや)

思い出さなくたって。
もう一度、恋を始める事は出来る。

「眠いならホテル戻れー、トールちゃんはいたっち。スタンドアーップ」
「うあー吐くー」



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