過去ログ - トール「フィアンマ、か。……タイプの美人だ」
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73: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/06/02(月) 22:32:40.24 ID:Av34Uu/40

二万年を忘れる。
オティヌスについて全て忘れれば、と思ったがそうもいかないようだった。
大元のきっかけになるものを忘れなければ、人間は直様思い出してしまう。
まして、トールの意思は強靭で強固だ。
生まれて来る運命すら消された少女を、思い出してしまう程。

「近頃の様子から鑑みるに、苦しかったと思うよ。
 『汚染』ダメージのしわ寄せ、魔術の知識による混乱、…君を忘れたくないという気持ち。
 恐らくは、最後の一つがキーになる。………この先は、正直に言って告げたくない」
「言われずともわかる。……そこまで愚かではない」

自分<右方のフィアンマ>に関する記憶を抜き取る。
関係する物品も、全て廃棄する。
脳の保護を終えた後ならば、思い出して問題はない。
ないのだが、記憶をバックアップする術はない。

一生、思い出す事のない可能性は、九割。

残りの一割。
下手をすれば、百パーセント中の一パーセントへの賭け。
百回同じ人生を繰り返して、一度だけ再び結ばれる可能性。
絶望的だった。奇跡は、そう易易と何度も起きるものではない。

「記憶消去は、……私がする」
「いいや、俺様が」
「君の術式は、不完全だ。自覚があって、補填もしていないんだろう?
 それに。………それに、…君を傷つけるのは、私であるべきだよ」

唇を噛む。
血の味がした。

「……一度、廊下に出よう」
「そう、だね」



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