過去ログ - トール「フィアンマ、か。……タイプの美人だ」
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81: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/06/03(火) 22:56:08.14 ID:3AjQrl1g0

今にして思えば。
きっかけや兆候なんて、いくらでもあったはずだった。

自分の事を、知らぬ相手を見るような目をされた日がある。

動揺しながらも話しかけ続けると、記憶が戻った。
あの時、何らかの手を打っていれば良かったのか。
だが、早く手を打つも何も、そんなことはまるで無意味だ。
何にしても、彼の脳を圧迫している記憶は消さねばならないのだから。
彼の事を世界で一番愛している自分が、世界で一番彼にとっての猛毒であるとは、何という皮肉だろう。
それも、記憶を消すことで救えるというのも、また皮肉だ。

「……天罰か」

それも仕方のないことだろう、とフィアンマは思う。
散々身勝手にやってきたツケが回ってきたのだ。
何人かの被害者から許されて、それでおしまいであるはずがないとは思っていた。
世界は、そんなに甘くない。優しくもない。

ドアを開けて、病室の中へ戻る。
トールは、既に目を覚ましていた。
虚ろなアイスブルーの瞳が、天井を見つめている。
彼らしからぬ、無気力な姿だった。


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