過去ログ - トール「フィアンマ、か。……タイプの美人だ」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2014/06/03(火) 22:57:30.33 ID:3AjQrl1g0
「もし、俺が死なないことで、世界が何らかの危機に陥って。
回りまわってお前が辛い目に遭うって話なら、死んでも良い」
怒りや自虐的な色はなかった。
「逆ならお前の事を死なせたりはしないけどな。
俺が死んでもお前が幸せなら、仕方ねえとは思う」
どうしてそんなことを言うのだろう。
彼が隣に居なければ、万全の幸せなど手に入るはずがないのに。
そんな気持ちを無理やり呑み込んで、質問をしているというのに。
「――――俺は、死ぬのか?」
直球な質問だった。
息が詰まる。答えられない。
唇を噛み、舐め、息を吸い込み。
「………俺様が、殺す」
そう、言った。
実際に手を下すのは他人でも、記憶上の死だとしても。
やはり、自分がトールを殺すことには変わらないから、と。
「そ、っか」
返答は、存外に軽かった。
予想していた、とでも言わんばかりに。
「お前は無駄な例え話しないからさ。
何となく、そんな気はした。……何らかの原因で、俺は化け物になるのか?」
「……そういう、ことになる」
「じゃあ、仕方ねえな。世界のために死んでやるよ。ははっ、ヒーローみたいじゃねえ?」
「トー、」
「語弊があるな。……お前がそう望むなら、生きる事を放棄する」
何度も喪われた命だった。
彼女を救うために捨て、得た命だった。
彼女と過ごすことで、満たされてきた人生だった。
彼女が、心身の全てをトールに救われたように。
トールも、彼女に救われたり、励まされてきたことが沢山ある。
「俺様と、世界のために死ねと言っているんだ。…失望しないのか」
「元々、お前はそういうヤツだろ。……そういう性格なら曲げられねえよ」
「嫌いになったか」
「ならない。……俺は、フィアンマに会って、喧嘩以外にも満足はあるんだって知ったんだ」
誰かを守るということの幸せを。
誰かが隣で笑っているという安息を。
「別に寂しくはなかったが、俺は孤独だった。
お前と出会って、好きにならなかったら、きっとあのままどこかで死んでた。
死ぬのが怖いと思ったのはお前と会ったからだし、死んでも構わないと思えるのはお前が生きてるから」
「嫌いになっては、くれないんだな」
「なるなら、もっと早くなってる。……諦める機会なら、それこそ二万回以上あった」
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