過去ログ - トール「フィアンマ、か。……タイプの美人だ」
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84: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/06/03(火) 22:58:12.47 ID:3AjQrl1g0

被っていたストールを剥がし、畳み、ベッドに置く。
オッレルス相手ならばともかく、トールに対して表情を隠す必要はない。

「……俺様と出会わなかったことになるのと、死ぬのと。…どちらが良い?」

意地悪な質問だ、と我ながら思って。
フィアンマは苦く笑い、下を向く。
後ろで、トールが身じろぐ音がした。
毛布の衣擦れの音や、ベッドの上で人が動く音だ。

「難しい質問だな、おい」

深々とため息をつかれて。
それから、後ろから、ぎゅう、と抱きしめられる。
右手で、濡れた目元を覆われた。

「お前が俺を嫌っても、憎んでも、殺しても。
 何をしたって、何をされても、俺は。

               ――――俺はさ、お前の味方(こいびと)なんだ」

だから。
出会わなかったことにされるくらいなら。
それならいっそ、死んでしまった方が辛くない。

そう答えて、彼は震える腕で彼女を抱きしめた。
一方的に殺されると聞かされて、怖くないはずがない。
彼は自殺志願者ではなく、戦闘狂なのだから。

「フィアンマ」
「……恐らく、そう答えるだろうとは思っていたよ。
 俺様も、同じように問われれば同じような答えを返すだろう」

温めるように、手を握る。
こんな風に抱きしめられるのも、愛を語り合うのも、今日が最期だ。


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