過去ログ - 私にはだれにも言えない秘密があります。
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◆XTaiiNXKpw
[sage saga]
2014/05/08(木) 01:11:04.83 ID:5ztHGExv0
形としては高校の美術教師のサポートという名目のアルバイト。ただ、少年の毎日の仕事はほとんどなく美術室の準備室に200号のキャンパスを置かれ「とりあえず、描いてみようか」そう美術教師に言われた。
少年は去年の十月、あの時から一度も筆を取っていない。どの色をどこに置くかを常に自分に問い続けてきた少年にとってそれの答えがわかってしまうことは、究極的な終了で、芸術は自分自身と同じくらいに無関心なものとなった。
その結果、少年は校舎の三階のベランダから隣接した体育館の屋上で人を見ないよう空を見続ける日々を送っていた。
「ずっと日に当たり続けてると喉乾いちゃいません?」
少年の背後で女の子の声が聞こえた。振り向くと水筒を差し出す少女、肌はとても白く全体的に色素の薄い少女だった。直感に近い好意を少女に感じた。この少女は僕にとってとても大切ななにかだ。同時に理性は真逆のことを考える。
「飲みませんか?」
ぐっと差し出す少女に少年は何も言えなかった。手からつま先で、彼女は真っ黒だった。嘘だ。少年は初めてこの能力に対し否定的な感情を生む。
喉が痛い。痛みを無視して少年は口を開ける。
「貰うよ。ありがとう」
少し不思議そうな顔をする少女から水筒を受け取り、一気に喉へ流し込む。と同時に吐き出す。灰色の床に透明なオレンジ色の液体が撒かれる。イメージはカドミウムグリーン。
「あれ?先輩、ロボットじゃなかったんですか!?わたし、てっきり」
演技じみた声で少女はふひひと笑った。口に残る違和感と床のオレンジ色の液体の臭いから気付く。
「これ……石油?」
「まあ正解です。厳密には近くのガソリンスタンドで買った軽油です」
ふひひー。少女はそうやってまた笑った。
少年は改めて少女の顔を見つめた。さっき見た黒い靄はもう見えない。
「いや、実はですね。一ヶ月ほど前から先輩がここでいつもいるのには気がついててですね」
少女は一ヶ月近く、僕のことを見ていたこと。変な人だなと思っていたこと。ここは少女にとってお気に入りの場所だということ。いろいろと矢継ぎ早に話して、話し終えれば満足したように。
「今から部活なので……また、明日お話ししましょうね先輩」
そう言って、あっという間に少女は帰ってしまった。
この日から、少年は少女に関するすべての物事に対し、能力を使えなくなる。
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