過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」 part10
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942:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/21(木) 15:53:22.19 ID:MmUahvQ/0
 戦闘痕の目立つ建物の影に、肩を落として立ち尽くす人影が一つ。

 その場にヒーロー、またはGDFにそれなり知識を持つ人間が居たならば、それがシンデレラ1に所属する人間、もっと言えば有浦柑奈であると認めることができただろう。

 衣服の隙間から鋼を覗かせるその背中は、どういうわけかひどく頼りなかった。

「帰ったら駄目なとかな……」

 力無く無線機を起動しながら溜め息混じりの弱々しい声を吸い込ませる。

 その声から活力は感じられず、少なくとも方言を隠すことを放棄するくらいには落胆していた。

『だ、だめだよっ…命令だし』

 咎めるような響子の声も、語尾に近づくにつれて語気が弱くなっていく。いまいち否定しきれない、とでも言うように。

 ──まるで命令じゃなかったら帰ってそうな口振り。

 …と考えかけた直後、それがひどく卑屈な考えだと気付くと、途端に自分がひどく矮小に感じられた。

 無論、彼女が普段からこういった思考回路を有している訳では無い。

「ばってん、そがん事言っても…」
「……どう考えてもオイ達役に立ってなか…」

 と、後ろ目に戦闘痕を精査しながら自嘲する。

 目立った破壊がなされた痕跡こそ無いものの、所々に見られるそれはそこで戦闘が行われた事を雄弁に語っている。


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