過去ログ - エルフ「譚奇フルエ、代時正大…?」
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2014/05/10(土) 08:09:41.80 ID:VDov6JlX0
  
 飯を食った後、明かりを消して2人は床につくことにした。 
 男は、自分はいいと言ってエルフの少女に布団を譲り、畳の上に寝転がった。 
  
 男「とはいえ、煎餅布団だがな」 
  
 布団からは長らく人の寝た気配がしなかった。 
  
 男「……おやすみ」 
  
 エルフ「いいのか?何かまだ、聞くことがあるはずだと思うが…」 
  
 男「いいさ、もしも聞かせてくれるなら明日聞かせてくれ、どうせ明日も暇なんだから」 
  
 エルフ「…そう、か」 
  
 男「お前の聞かせてくれる話が、何か得になるようなことなら、いいんだがな…」 
  
 そう言ったきり、男は寝息をたてて静まり返ってしまった。 
 酒の気怠さもあるだろうが、何より男にはもうエルフについての関心は随分と薄れているようだった。 
  
 エルフ「……ふん」 
  
 彼女は、そんな男の態度が少しばかし気に食わないようだった。 
  
  
 そうして夜も深まり、虫ケラも寝入った頃になって、未だエルフの眼は起きていた。 
  
 ここから逃げ出すために。 
  
 エルフ「……親切心が仇になる、口八丁手八丁で相手をだまくらかす人間は世界中にいたよ」 
  
 エルフは、まるで男の背中に聞かせるように呟いた。 
 そして立ち上がって、扉のそばに佇む。 
  
 エルフ「……いいのか、ほんとうに行ってしまうぞ?」 
  
 まるで最後通牒のごとく、エルフは言い放ち、暗闇の中に消えていった。 
  
 畳んだボロの上に、彼女の代金を置いて 
 彼女はまた自由になった。 
  
  
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