過去ログ - エルフ「譚奇フルエ、代時正大…?」
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52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/11(日) 11:11:32.92 ID:HKp1oIVR0
エルフ「ふっふっふ、それでもってなヌシよ、私はこいつで一つ屋台でもやろうかと思っておるのだよ、お前さんと一緒にな」
しかし、その言葉には流石に男も手を止めた。
男「…は?お前、今なんて」
エルフ「だからの、これでもって一山当てようかと言っておるのだ」
それはまた、随分と大きく出た、突拍子もない提案だった。
男「お前な、そんなこと言って、商いは難しいのだぞ?お前のような学童足らずにそんな真似が出来るのか?」
エルフ「私の見通しさえ正しければ、芋さえ揚げていれば馬鹿でも儲けられると思っているがな」
男「……いや、その見通しが不安だと言っているのだが」
素直に不安を口にする男だったが、その指が空を切ったのを見て、少女は確信を得たようにニヤリとした。
エルフ「その空になった皿が、何よりの証拠だと思うのだがなぁ、私は」
男「うぐっ」
たしかに、気がつけばいつの間にか男は芋を食い尽くしていた。
それこそ、本人さえも気づかないうちに。
男「それに関しては、何も言い返せんな…」
エルフ「お前はさっき"食った気にならんだろう"と言ったな?それこそが一つ、私の勝算だよ」
男「…というと?」
エルフは立ち上がり、男に買われた時のような朗々とした語りを始めた。
エルフ「食った気にならん、腹が膨れぬ、つまりいくらでも腹にはいるという事だ。そうなれば、これだけ美味しいものを、人はどうする?」
男「…なるほど、人はもっともっとと食いたくなる、か」
エルフ「ああ、それこそ腹が膨れるまで延々食いたいとさえ思うだろう、しかもだ」
少女はそこで一旦言葉を切り、脇にあった紙切れを折って袋を作り、別の紙片はくしゃくしゃに丸めてシワをつけた。
エルフ「全部食ってしまったのでは見せようがないが、アレはちょうどこんな風にデコボコしていたよな?」
シワだらけの紙片を差し出して説明を続けた。
男「ああ」
エルフ「それをだ、こんな風に袋詰めにしたらどうなると思う?」
男「?」
この問いには、男も少し首をひねった。
少女はしかし、その答えを待たず演説を続けた。
エルフ「元は一枚の薄ペラだったのに、随分とたくさん入っているように見えないか?」
少女は試しに紙片を紙袋に入れてみた。
なるほど、たしかに紙と紙の間に空間が出来て膨らんで見える。
男「ああ、そうか!」
それを見て、男の方もようやく合点がいったようだ。
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