26: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:31:41.73 ID:zyFBEZ370
京太郎はすぐに答えた。
「どんな顔だ。
見つけられるかはわからないが、探す相手がわからなきゃ見つけられねえ」
このとき京太郎はまったく何も考えていなかった。
おそらく後から考えても理由はわからないだろう。
友達は言う。
「茶化さないでくれただけで、お前が友達でいてくれてよかったと思う。
みんな俺がうそを言っていると思って、すぐに薄笑いを浮かべるんだからな」
つづけて、
「俺の幼馴染が悪魔にさらわれた、四日前の話だ。
悪魔はマネキンみたいな姿だった。
俺と幼馴染が久しぶりに遊んで帰っているときだった。
急に雨が降り出した。
まったく周りがどうなっているのかわからないくらいの勢いだった。
そうしていると雨の向こう側から、人間の形をした何かが現れた。
やっと何が歩いてきていたのかがわかったとき、悲鳴も出なかった。
ショッピングモールに突っ立っているマネキンがさ、人間みたいに動いて、男子高校生を担いでさらっていくんだぜ。
頭がおかしくなったかと思ったよ。
何とか動き出して、邪魔をしたが、まったく手も足も出なかった。
俺が足にしがみついているのに、まったく問題ないってな具合だった。
俺は振り払われて終わりさ。
何もできなかった。
雨がやんだとき、幼馴染は消えていた。
夢でも見ているのかと思った。
地面は乾いていたからな。
でも消えてしまった幼馴染と、びしょびしょになった俺の服が夢じゃないと教えてくれた。
警察にあわてて連絡した。
幼馴染の家にも電話して聞いたよ。
でもな、全部笑われた。そんなことがあるわけないってな。
幼馴染は家出したことになった。
それが自然だからって。
それで通された」
京太郎は黙っていた。
確かにおかしな話だからだ。
悪魔などというのは存在しない。
そんなものがいたのならば、世界は混沌としているからだ。
しかし人が消えうせるなどということもない。
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