37: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:59:39.82 ID:zyFBEZ370
額にへばりついている前髪を一気にかき上げる。
そしてしっかりと怪物をにらんだ。
その姿を彼は文献の中で見知っていた。
地獄でもがく畜生。
人間の腰あたりまでの身長で、満たされない魂を抱えて苦しみ続ける罪人の姿。
ガキ。
人間の形に近い。
しかし人間のように見えるだけであった。
ガキの両目には何も入っていない。
暗闇があるだけだ。
生命体なのかすら怪しい気配に心が折れそうになった。
彼を見つけたガキは、腹を抱えて笑っていた。
うれしいらしい。
ガキは常に腹をすかせている。
いくらものを食べようとしても食べることができないからだ。
水を飲もうとすれば水がガキから逃げる。
ものを食べようとすれば口に入ることはなく燃え尽きる。
地獄で攻められるとは恐ろしいこと。
地獄ならばそうなっていただろう。
しかしここならどうだろう。
地上ならばその罰を受けるのだろうか。
おそらく受けない。
なにやら口元に食べ残しがついている。
カラスの羽である。
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