8: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:01:05.57 ID:zyFBEZ370
 事故にあった男子高校生は 
 「そっか、大丈夫だったか。ならいいんだ。記憶が飛んでいて、最後にどうなったわからなかった。でも、元通りになったのなら満足だよ。俺は」 
 といって微笑んだ。 
  両親は一人息子が少しだけ大人になったと思った。まだ小さな子供だと思っていたが、友人たちへの振る舞いの中に、何かを成し遂げた人間の厚みのようなものを見た。 
  両親は何を成し遂げたのかを息子にたずねたりはしなかった。生きて帰ってきたこと、そして成長したこと、それだけあれば十分だったからだ。しかし無茶をしたことを少しだけ愚痴ることにはした。心配した人間がいたのだと伝えておかなければ、どこかに飛んでいきそうだったからである。 
9: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:02:32.65 ID:zyFBEZ370
 そうしていると病室に警察官と老人が入ってきた。警察官は両親よりも年上の男性である。男子高校生に、事故にあったときの状況を聞きたがったのだ。もう一人は警察官よりもさらに年上の男性。老人だった。身長が高く、不思議と頼れる雰囲気をまとっていた。若い時代は、さぞかしもてただろう。 
  警察官はすぐに病室から出て行った。男子高校生が事故にあう前の記憶を失っていることがわかったからである。医者からもすでに説明を受けていたので、根掘り葉掘り聞くことはなかった。それに、老人からも話を聞いていたので、特に男子高校生から話を聞く必要がなかったのである。 
  見知らぬ老人が、病室に入ってきたのは老人が男子高校生を助けてくれたからだ。両親が男子高校生に教えてくれた。 
 「この方が見つけてくれたから命を拾うことができたんだ」 
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/09(金) 13:03:06.22 ID:NvrJkDP+o
 レス冒頭は一行空けて文章は適宜改行したほうが良い。 
 正直今のままだとだいぶ読みにくい。 
11: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:04:10.64 ID:zyFBEZ370
 早朝、散歩をしていると金属が引きちぎれるような音が聞こえ、音がしたほうへと向かうと男子高校生が交差点で倒れていたという。 
  老人に対して頭を下げてお礼を言った。 
 「ありがとうございます。あなたが助けてくれなかったら、俺は生きていられなかった。友人も、あなたなのおかげでしょうか。もしそうなら、そのことについてもお礼をいいます」 
  老人はうなずいた。 
 「察っしのとおりだ。交差点で君を見つけ、君が見つけた友人も私が助けた。よく、見つけられたね。感心するよ。そして最後まで、あきらめずに立ち向かった君の友人も」 
12: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:05:54.95 ID:zyFBEZ370
 老人は答えた。 
 「私の名前は葛葉ライドウ。隠居だよ。昔は探偵をやっていた。退院できたら私の友人に紹介したいとおもう。事故で傷ついた心を癒すことができる人物が知り合いにいるのだ。気晴らしを用意しよう。京太郎君さえよければの話だがね」 
  京太郎は老人に答えた。 
 「もちろん、ありがとうございます」 
  京太郎が退院したのは、それからさらに三日ほど後のことである。その間彼にお礼を言っていた男子高校生が二人、毎日彼の病室に通い、学校の話をしてくれていた。時々、病室から抜け出して中庭に出て、そこで野良猫と遊ぶ京太郎の姿が目撃されている。野良猫は真っ黒な猫で、印象的な緑の瞳をしていた。 
13: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:06:44.64 ID:zyFBEZ370
 新学期が始まってすぐのことだ。 
  リュウモンブチにかよう男子高校生が執事から外出禁止を言い渡された。 
 「敷地から出てはいけない」 
 しかし彼は禁止を破ってしまった。友達と遊びたかったのだ。 
  
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/09(金) 13:08:01.51 ID:/b7xCjZs0
 ライドウ出てきた 
 特にベースは無いのか 
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/09(金) 13:08:31.08 ID:NvrJkDP+o
 [田島「チ○コ破裂するっ!」]乙 
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/09(金) 13:09:30.27 ID:NvrJkDP+o
 オナニー乙 
17: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:09:31.83 ID:zyFBEZ370
   
  五月に入ったあたりから、京太郎は悩みを抱えていた。彼の悩みとは、心の中にある微妙な空白である。 
 人間誰しも、心の中に問題をかけているものである。 
 欲望なのか、それともまったく別のものなのかは、人それぞれ。 
 思春期の男子高校生ならば、悩みがあってもまったくおかしなことではない。 
18: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:12:49.03 ID:zyFBEZ370
 しかし京太郎の胸の空白は広がっていった。 
 人のお願いを聞いてみても、まったく何も答えが出てこなかった。 
 一生懸命になって動いてみても、まったく心が埋まらない。 
 空白が広がるばかりで、何も得るところがない。 
 まったく理屈などない。 
353Res/390.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。