18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/09(金) 20:27:28.22 ID:OHJpcaUT0
「千石」
「…………」
「お前が何を言おうと、お前が何を思おうと、僕はお前を許している。だから、これ以上は何も言うな」
「うん……ありがとう」
これでいい。これでもう精算だ。
単なる僕の自己満足かも知れないが、一応、区切りはついたと思おう。
「ねえ、暦さん」
「ん?」
「私の描いている漫画……恋愛ものなんだけど、主人公を中学生の時の自分と投影していてね」
「へえ」
そういうものなのだろうか。確かに、千石の中学生時代なんて人生で一番波乱のあった頃だから、面白おかしく脚色すればひとつの話になるのは明白だ。
僕としては複雑な想いだけれど。
「だから、テレビで見た雪歩ちゃんがぴったりだと思ったんだ。彼女、すごく昔の 私に似てる……」
「そう……なのかな」
千石と萩原。
僕の視点から見たら、類似点なんて引っ込み思案なところくらいしか見出せないけれど。
本人たち、それも年齢の分だけ長じた千石には、別の形で見えるのかも知れない。
「気を付けてね、暦さん」
「気を付けてって……何を?」
「雪歩ちゃんが、第二の私みたいにならないように」
自虐的とも取れる千石のその言葉を、僕は笑い飛ばすことが出来なかった。
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