276: ◆TRhdaykzHI[saga]
2014/06/05(木) 20:37:52.58 ID:Okf816dvo
魔王「…………」
魔王「ぐすっ……うぐ……ひぐ……」
魔王「でもこんな日がくるだろうということはちゃんと分かってたんだ……」
魔王「そうだ」
魔王「もう姿を隠して逃げ回る生活をしなくてもいい。
堂々と自分らしく生きることができる世界」
魔王「魔族と人が種族を理由に戦うことなく、ともに手をとりあって生きていける……
夢見ていた理想郷が実現したんだ。これ以上なにを望む」
魔王「争いのない世界……魔族の人権が認められている世界……」
魔王「それ以上を望むのは傲慢だ」
魔王(そもそもこんな個人的なことに現をぬかしている場合ではない)
魔王(宮殿の中に魔族の台頭に眉をひそめる者がいないとは言えない。
その者たちが声を大にしないようあの国王が抑え込んでくれているのは知っている)
魔王(事前に潰せたのはよかったが、人身売買を生業とする犯罪組織が魔族を狙おうとしていたこともあった……)
魔王(それに……創世主の一件は、あれで本当に終わったのか……?)
魔王(……)
魔王「……そうだ、私にはまだまだやらねばならないことがある。
ふう、だんだん頭も冷えてきた…… ぐすっ……」
魔王「あーっ、勇者くんに好きな人ができてよかったっ!」
魔王「そういうのに疎いから心配していたんだ。これで一安心だな」
魔王「人の……一生は……私たちと違って……短いしなっ」
魔王「……どうせいつか二度と会えなくなる日が来るなら、
今日こうして現実を見ることができてよかったのかもしれない」
魔王「その方が悲しみは少なくてすむ」
魔王「…………うん、そうだ」
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