676: ◆TRhdaykzHI[saga]
2014/09/14(日) 10:11:13.62 ID:NxApZR39o
事件から数日がたった後も、新聞の紙面や町角に据えられたテレビの画面から社長の鼻血まみれの顔と、
そしてボロボロになった会社のビルが消える兆しはなかった……
「やー、すごい騒ぎですね、先輩」
ここにもひとり、テレビの中のコメンテーターの顰め面を見ながら煙草をくわえる若者がいた
今日目が覚めてから同じ画面を5度は見た。いい加減興味も薄れてテレビのスイッチを切る
「あれ、先輩どこに行くんですか」
「ちょっとな」
「なに手に持ってんですか」
「なんでもねえよ」
彼は、だらしなく腰かけていた椅子から、弾かれたように立ち上がると上司に詰め寄った
そしてその手に握られていた辞表をびりびりと裂いてしまう
「俺、先輩のこと実は尊敬してるんですけど」
上司はしたり顔で頷く。「お前はいい警官になる」
「またいつか会おうぜ。お前が立派な一人前になったらな」
煙草の煙が去って行く彼を引きとめようと無駄な努力をしている。
後輩はぐっと言葉を飲んだ
そして沈黙のまま、米粒ほどの大きさになった上司の背中にようやく敬礼をした
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