過去ログ - 千種「真赤なカーネーション」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/11(日) 23:00:37.04 ID:rMT0qrsn0

 優の遺影と位牌に、私達は手を合わせていた。
 優の墓前で、声を荒げた事もある。そんな過去を思い出しながら、私達は長い間、手を合わせていたような気がする。
 テーブルの椅子に着いた私と千早は、お互いに何を切りだせばいいのか分からず、部屋には開け放った窓から入ってくる風と、道路を走る車の音が聞こえるだけだった。
 取り敢えず、母親としてはこの状況をどうするべきなのかと考え、一先ずお茶でも入れようと立ち上がる。
 普段は使わない、もう一組のカップを戸棚の奥から取り出して、軽く洗ってキッチンペーパーで拭いておく。
 その間に沸いたお湯で、インスタントのコーヒーを淹れて、千早に差し出した。

「お砂糖は?」
「……いえ、このまま」

 些細な事ではあるものの、私は娘の生活様式がまるで分かっていないのだと再認識した。
 でも、少しは会話の糸口が出来た。

「……千早は、普段家でコーヒー入れるの?」
「……偶に」
「そう……ご飯とかは、どうしてるの?」
「最近は、春香や高槻さんに教わって、少しずつ自分で……」
「春香……ああ、あの子……」

 以前、スケッチブックを渡した子だ。


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