20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/14(水) 20:03:21.90 ID:nm2l17/f0
「……お前、誰だ!? 天海じゃないな? 何故僕達を狙う!」
「質問はひとつずつにせんか、たわけ」
さも呆れたと言わんばかりにオーバーリアクションを取る天海。
はっきり言って仕草から表情から、全くと言っていいほど天海に似合わない。
「吾輩は懐が広いので寛大に答えてやろう。まず名前だが――吾輩に名前などない」
名前が……無い?
「吾輩は魔を統べるもの。他の者は吾輩を魔王だとか閣下と呼んでおるがの」
「どういう……意味だ?」
「奴はそもそも住む世界が違うのじゃ」
「世界……?」
「そっちの幼女は理解しているようだな。善哉善哉」
喉を鳴らして愉快そうに笑う。
「うぬら人間には理解し難いだろうが、ここを世界Aとすると、うぬらが怪異と呼ぶものだけが住まう世界Bがあるのだ」
「怪異だけが住む世界だって……?」
あるのか、そんなものが。
否定は出来ない。
僕だって一度、怪異に満ちた未来を見ている。
「時折、人間が迷い込むこともあるがな。吾輩はその世界での王だ」
つまり、言ってしまえば怪異の中の怪異、か。
「さあ、吾輩は名乗ったぞ。うぬらも名乗らんか」
「……阿良々木暦」
「忍野忍」
「暦に忍、か。良い名だな。もうひとつの問い、何故襲ったかについては――間違いだ。赦せ」
「はあ……?」
「間違いで殺されてはたまらんのだが?」
「いやなに、こちらで同族に会うのは初めてなのでな。敵かと思ってつい手が出てしまったのだ、何せ吾輩も敵が多い身での」
あちらでも特に鬼の類は吾輩に反抗的なのでな、と付け足す。
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