過去ログ - 遊佐こずえ「つれてってくれるから」
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2014/05/17(土) 00:52:58.48 ID:SBYvJ4MO0
「ままとぱぱなら……いま、いないよぉー」
彼女は語尾を間延びさせて、そう答える。私はその台詞を残念に思った。彼女の両親に話を通さなければ、アイドルにはなってもらえないからだ。どうしようかと悩んでいると、意外にも、彼女が口を開いた。
「ふわぁ……あなた、だぁれぇー?」
至極真っ当な疑問である。私は自分が、アイドルのプロデューサーであることを明かした。続けて彼女に、アイドルになってほしいことも伝える。
「ぷろでゅーさー? ……えぇー、かわいいー? ……あいどる?」
彼女は私の話す単語を一々返し、そのたびに愛らしく首を傾げた。その様子が面白く、私はついつい頬を緩めてしまう。
「うんー……いいよー。やるぅー……あいどるやるぅー」
彼女の無垢な返答は、落ち込んだ私の心を、幾分か和ませた。そして、ちょっとした冗談を言う余裕すら、与えてくれる。
「それじゃ、アイドルの練習をしてみようか。笑顔を見せてもらえるかな」
「わらうのー? ……ふわぁ」
無邪気な彼女の笑みは、多くの人間を魅了できると、確信に値するものだった。私はつられて、彼女に微笑んでみせた。
その後、彼女の両親と連絡がとれ、私の事務所に、遊佐こずえが、正式に所属したのである。
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