過去ログ - エルフ「私の前に道はない 私の後ろに道は出来る」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2014/06/01(日) 03:18:59.64 ID:SAoUehP80
ようやく言葉を口に出せたのは、熱かったお茶が
飲み干せるくらいに冷めてからだった。
村娘「…でも、すごかったです…とっさにあそこまでできるなんて」
男「そうですか」
村娘「はい、私なんて…一応は医者の娘なのに、何もできなくて…恥ずかしいです」
彼女はそういうと、持った湯のみのお茶を見つめた。
そこの方には、水たまりの泥のように茶葉のカスが溜まっていた。
男「……そんなに」
村娘「…はい?」
男「そんなに、立派なものじゃないですよ、あんなのは」
村娘「…あんなのって、そんな」
男「いえ本当に、あれは身につけたくて、身についたものじゃないんです…」
男は昔、軍の訓練施設にいた。
包帯の巻き方に始まり、治療のいろはなんてのはそこで叩き込まれたことだ。
加えて、戦場に出てからも色々なことを学ばざるを得なかった。
男「必要に迫られたから、否が応でも覚えなければいけなかった、そうしなければ…」
村娘「………」
男「…いや、そうしても死んでいく奴は多かった…」
村娘「……そう、だったんですか」
男「恥ずかしながら、そう多くの場数を踏んだわけでもありません、踏んだのは精々一度か二度くらい」
そして、その踏んだ挙句に足を失った。
とまでは言う必要はなかった。
そんなことを、彼は訥々と語った。
あの少女のように朗々とはいかないものだなと、男は心の中で思った。
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