過去ログ - エルフ「私の前に道はない 私の後ろに道は出来る」
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[saga]
2014/05/25(日) 05:45:08.06 ID:iNj26n580
そこから長いこと逡巡したようだったが
やがて決心したように口を開いた。
エルフ「…か、感謝もかねて、だな……いい方法があると、思うのだが」
男「…?」
何事だろうと、男が彼女を見下ろしてみると
なにやらモジモジとしてじれったそうに、しきりに自分の頭を気にしているように見えた。
男「……えっと…」
エルフ「……じー」
男「…!」
すると彼の目に、金髪の中で一房、不揃いになっている部分が映った。
その切り取られた先はいま、彼の元にあって、どういうわけか彼の足を支えているのだ。
男「……」
彼女がどういう思いで髪を切ったかは、他人では決して知り得ないことである。
だが、それが並々ならぬ覚悟だったということは、男にも分かっていた。
男「………」
エルフ「っ!?」
その指先が、ゆっくりと切られた毛先に触れる。
そうしたら、金色の髪をかき分けるように指を這わせて、頭全体を撫でるように手のひらを動かした。
エルフ「…ぅぅ」
優しく、感謝と詫びの気持ちを精一杯その行為にこめた。
男「……その、ありがとうな、こんな、こんな俺のところに来てくれてさ」
エルフ「………ふん…なら…責任」
男「…ん?」
エルフ「責任、とれよ…私の髪、一房分くらいは……」
男「……ん、ああ、いくらでも」
それが終わると、足並みがズレないように二人で手をつないで
家に帰って、一緒に夕食の準備をした。
買ってきた鰯を、半分は生姜と煮て晩御飯に食べた。
残りのもう半分は塩漬けにした。
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