10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/21(水) 22:41:55.27 ID:Le++7Cc10
003
案の定、撮影中に感極まって逃げ出す森久保を捕らえて撮影させる、という仕事を無事終えた僕は森久保と共に事務所に舞い戻る。
何だか森久保の捕獲が僕の仕事になってしまっているような……。
事務所には珍しく誰もいなかった。
「お疲れ、森久保。何か飲むか?」
「い、いえ……お構いなく……」
今日はもう森久保に仕事もないし、明日以降のスケジュールを確認して帰るとしよう。
「今日は良く頑張ったな」
「あう……」
森久保は、褒められ慣れていないのだろう。
毎度の事だが褒めても困ったような表情で眼を逸らすだけだ。
人と交わることを極端に恐れ、他人の視線を忌避する少女は、果たして何の因果でアイドルをやることになったのか不思議で仕方ない。
先述した通り親戚の勧めで一度だけ、というのが実際の所なのだが、それでもたかがそんな理由でアイドルをやれているということは、それだけの才能とスペックがあるからだ。
それを思うと本当に惜しい。
神は良く悪戯で望まない者に才を与えると聞くが、森久保なんかが最たるものなんじゃないだろうか。
この先は、森久保のメンタル面でのケアを第一にプロデュースをするのが必須となるだろう。
本人が嫌がっていることを無理やりやらせたところで何の意味も無い。
と、割と僕にしては真面目に仕事のことを考えていると、おどおどといった擬音が似合うような様子で森久保が話し掛けてきた。
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