過去ログ - 亜美「誕生日ねぇ……」 -SS速報VIP

過去ログ - 亜美「誕生日ねぇ……」

↓ 1- 覧 板 20

10: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:05:38.83 ID:AKaUXSO00
律子「あんたと一緒よ。初恋が実らなかった傷を、恋愛以外で埋めようとしてる。それだけよ」

　そういって、律っちゃんはグラスのお酒を一気に飲み干す。酒がまずいのか昔の思い出が苦いのか、その顔は見事なまでにしかめっ面だ。

亜美「悲しいこというねぇ。んじゃ」

以下略

11: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:06:08.71 ID:AKaUXSO00
律子「ちょっと亜美。私明日もしごｔ」

亜美「二人の失恋に」

　言いかけた言葉を塞ぐように、グラスを持ち上げて構える。

12: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:06:38.84 ID:AKaUXSO00
律子「……もう、それを言うならあんたの誕生日にじゃないの？」

　律っちゃんもあきらめた様に乾いた笑いを浮かべながら、私と同じようにグラスを掲げる。

亜美「いーじゃん。偶にはこんな苦い酒があっても」

以下略

13: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:07:07.92 ID:AKaUXSO00
亜美「言うね律っちゃん。惚れちゃいそ」

律子「何バカなこと言ってんのよ。さ、二人の失恋に」

亜美「二人の失恋に」

以下略

14: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:07:39.93 ID:AKaUXSO00
……

　それから幾分かの時間と酒を消費した頃、律っちゃんは、明日も仕事だからと言って名残惜しそうに帰って行った。まぁ、その明日というのは今日のことなのだが。

15: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:08:08.94 ID:AKaUXSO00
　一人になると、先程まで感じなかった寂寞の念がおそってくる。真美の事、兄ちゃんの事。かつての７６５プロの事。記憶が酒で麻痺した頭から浮かんでは消え、消えては浮かぶ。

16: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:09:03.36 ID:AKaUXSO00
　ふと思い出して、携帯の電源を入れ直してみた。はるるん、千早お姉ちゃん、ひびきん、いおりん、あずさお姉ちゃん、まこちん、雪ぴょん、ミキミキ、やよいっち、お姫ちん、それに何故かさっきまで一緒だった律っちゃん。かつての仲間達からの祝福のメールが並ぶ。そのメールに上から順に返事を打ち、とうとう最後……すなわち、一番最初に受信したメールにたどり着く。

亜美「……真美」

17: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:11:04.55 ID:AKaUXSO00
　自分だって誕生日のくせに、いの一番に私を祝ってくれる姉が嬉しくて、さっそく返信ボタンを押すが、気の利いた言葉が一つも浮かんでこない。

亜美「……いつからこんなぶきっちょになっちゃったかなぁ」

　トクトクと酒瓶からグラスに最後の一杯を移し、ゆっくりと、初めて酒を飲んだ日のようにゆっくりと口に含んでいく。

18: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:12:02.74 ID:AKaUXSO00
亜美「やっぱ……」

　最後の一滴をグラスを傾け、ペロリと舐め取りながら……

亜美「……生まれてきてくれてありがとう、かな。私のお姉ちゃん」

19: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:12:42.43 ID:AKaUXSO00
　言いたいことは山ほどあったはずだったが、口からこぼれ出た言葉はそれだけ。亜美は、真美が送ってくれたメールをただ復唱した。多分、それで十分なのだろう。

以下略

25Res/7.92 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ