過去ログ - 亜美「誕生日ねぇ……」 -SS速報VIP

過去ログ - 亜美「誕生日ねぇ……」

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3: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:01:47.44 ID:AKaUXSO00
律子「そういわないの。祝ってもらえるだけでも良しとしなきゃ」

　彼女は秋月律子。私の所属する秋月プロの若き女社長だ。今年で34になるはずだが、どう見てもまだ20代にしか見えないあたり、流石は元アイドルだと思う。

4: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:02:15.21 ID:AKaUXSO00
亜美「そうは言うけどね律っちゃん。この歳になるとそろそろ独り身が身にしみてくるわけよ。あーあ、若い頃にピヨちゃん弄りすぎた報いかねぇ……」

律子「それを言ったら、一緒になって弄ってたあんたの姉はどうなるのよ」

　そう、私の姉であり、共にアイドル活動に邁進してきた双海真美はもういない。今は双海ではなく、私達のプロデューサーだった人と同じ名字になっている。

5: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:03:00.17 ID:AKaUXSO00
亜美「まさか兄ちゃんがホントに義兄ちゃんになるとは思ってなかったなぁ。あのロリコン、今度会ったらたたきのめしてやる」

律子「ていうか、こんなとこでこんな時間に飲んでていいの？　明日は真美とプロデューサー殿とパーティの約束なんでしょ？」

　その言葉に、私は深いため息で答える。

6: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:03:31.63 ID:AKaUXSO00
亜美「それだよ律っちゃん……真美にゃ悪いけど、私は行きたくねーのですよぉ」

律子「あー、まぁ分かるわ」

亜美「何が悲しくて独身女がラブラブカップルのとこに単身乗り込まなきゃいかんのですか！」

以下略

7: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:04:07.18 ID:AKaUXSO00
律子「しかも、自分の初恋だった人のところにね」

亜美「それは言わない約束だよー」

　律っちゃんは我関せずとばかりにケラケラ笑う。自分だって兄ちゃんのこと気になってたクセに。

8: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:04:34.70 ID:AKaUXSO00
亜美「……正直ね、あの二人が付き合ってるって聞いた時、ショックなのはショックだったんだけど……なんだか妙な気分だったんだ」

律子「何、現実を受け入れられなかったとか？」

亜美「うーん、ちょっと違うんだ。なんか、真美に兄ちゃんがとられたのか、兄ちゃんに真美がとられたのかよく分かんないっていうか……」

以下略

9: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:05:04.55 ID:AKaUXSO00
亜美「ま、暗い話はおいといて。律っちゃんなんか華のある話題はないのかーい？」

律子「あったらこんなとこであんたと飲んだりしないわよ。私は仕事が恋人、それで良いの」

亜美「勿体ないねぇ……今でも結構求婚されちゃってんでしょ？　どうして何も受けないのさ？」

10: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:05:38.83 ID:AKaUXSO00
律子「あんたと一緒よ。初恋が実らなかった傷を、恋愛以外で埋めようとしてる。それだけよ」

　そういって、律っちゃんはグラスのお酒を一気に飲み干す。酒がまずいのか昔の思い出が苦いのか、その顔は見事なまでにしかめっ面だ。

亜美「悲しいこというねぇ。んじゃ」

以下略

11: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:06:08.71 ID:AKaUXSO00
律子「ちょっと亜美。私明日もしごｔ」

亜美「二人の失恋に」

　言いかけた言葉を塞ぐように、グラスを持ち上げて構える。

12: ◆.xKc9zwqNY[saga sage]
2014/05/22(木) 19:06:38.84 ID:AKaUXSO00
律子「……もう、それを言うならあんたの誕生日にじゃないの？」

　律っちゃんもあきらめた様に乾いた笑いを浮かべながら、私と同じようにグラスを掲げる。

亜美「いーじゃん。偶にはこんな苦い酒があっても」

以下略

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