11: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/25(日) 21:56:56.64 ID:d+YVnMr1o
#4#
ビルの入口には、電気の通っていない自動ドアがあった。
サードハンドで自動ドアのガラスを破って廃ビルを出る。
廃墟、廃墟、廃墟。
けれど、豊かな自然に囲まれている。
誰もメンテナンスしないから、草木が生え放題となっているのだ。
誰も駆除しないから、野良猫やカラス、その他、野性生物の楽園と化しているのだ。
足元一面のガレキとガラス。横転したスクールバスに、壊れた信号機。
移動手段が必要だが、そこらへんに転がっている車は全て錆びているし、エンジンとガソリンが外されていた。
ここは、もう使われていないかつての大都市なんだろうと推測できる。
――――足音が2つ。
近くの建物から、2人の黒スーツが歩いてやってきた。
明らかに常人の佇まいではなく、剣呑な雰囲気を醸し出している。
彼らは男から5mほど離れた所から問い掛ける。
黒スーツA「やぁ。ダニエル博士」
男「君たちは誰だ? ダニエルって誰だ?」
黒スーツB「とぼけたって無駄ですよ。盗んだ『ザナドゥ薬』を返してもらいましょうか」
男「嫌だと言ったら?」
黒スーツB「そうですね……」
男たちは懐の拳銃を抜いて、こちらに構えて見せる。
M1911系のハンドガンだ。
丁寧なカスタムであることは、彼らから5m離れていても良く分かった。
それなりに、良い後ろ盾をもった男達らしい。
男「待て、僕を殺したら、ザナドゥ薬は一生手に入らないぞ。それどころか、薬は君たちの敵の手に渡ることになる」
黒スーツA「そうならないように手伝っていただけますか?」
男「ああ、ああ、そうしよう」
男は両手を挙げて、降伏のポーズをとる。
当然スーツどもは銃を降ろさない。
――それがいいのだ。
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