130: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/08/07(木) 10:39:35.22 ID:WE5r05oHo
#5−4#
車内から覗く景色は、文明が崩壊していなかった繁栄を誇示していた。
この大都市では、何もかもが平和に感じた。
ダニエル「『死亡の予定を負傷にしておいた』……」
アリシア「君、ゲームの機械に脳を繋いでいたんだ。鮮明な死のショックに耐えきれず、廃人になるところだった」
ダニエル「……ありがとう」
アリシア「にゃはははは! 礼も言わずコキ使ってくださいにゃ」
思い出す。
ダニエル「なぜあの時、軍曹と僕を攻撃した?」
アリシア「……にゃ?」
ダニエル「だからさ、僕が死ぬ前に、軍曹と僕に向って、君がムサいオッサンに変装して攻撃してきたろ」
アリシア「……みゃーの記憶にない、それに、ログにも残ってないと思う」
ダニエル「どういうことだよ」
アリシア「分からない。でも、君は幻覚を見せられていたんだ。心当たりならある」
「『魔女』アリス・ザナドゥ。君の妹にして、ハッキングの天才」
ダニエル「僕の妹が、最終的に僕が死ぬように仕向けた……? 妹の顔すら覚えていないが……」
アリシア「失礼だけど、君の妹は普通じゃない。君を独占するために国を潰せるタイプの人間だ」
ダニエル「君が『普通』を語るか」
アリシア「……にゃははっ。それもそうにゃね」
ダニエル「……すまん」
アリシア「本当のことにゃ。カミサマは普通じゃダメなのにゃ」
1時間後、車内に涼しい風が流れる。だいぶ田舎まで来た。
雑談が続く。アリシアとも打ち解けてきた気がする。
ダニエル「ところで、なぜ君は僕を、そんなに好いてくれるんだ?」
アリシア「……研究所に付いたらバレるし、隠しても無駄かにゃ。私は、貴方様の奴隷ですにゃ」
ダニエル「おいおい、冗談は……」
アリシア「マジですにゃ。どうせご主人様、記憶喪失でしょうから説明は省きますが……」
――私は、ある問題を2つ抱えていました。貴方は、うち1つをたった2ヶ月で解決したのです。
それだけでなく、もう1つの問題も、解決を約束してくださいました。
ご主人様は、命の恩人です。
身も心も……私は、ご主人様に忠誠を誓ったのです。
すなわち……この『奴隷の証』は、私にとって誇りです。
アリシア「普段は袖で隠してますけど……」
アリシアが袖をめくると、手首に「I'm Daniel's slave」と刺青が入っていた。
にゃははと笑うアリシアは、まるで初恋の熱に浮かされた乙女のような瞳だった。
女は、恍惚とした眼差しで刺青を撫でている。
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