14: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/25(日) 23:20:28.22 ID:d+YVnMr1o
#7#
道中、倒壊した居酒屋のガレキに足を挟まれ、呻いている少女を見かけた。
少女「ああああ……痛い痛い痛い……」
男「やあ、このバーでは、ガレキに挟まって酒を飲むのがマナーかな?」
少女「ふざけんな! ……ねえ、ちょ、ちょっと。アンタ、見てないで助けなさいよ」
男「2つ条件がある」
少女「何? 何でも言うこと聞くから……ねえ……!! 死んじゃうってぇ……!」
苛立ちを、この危機的状況の少女に対する皮肉で発散するのは間違っている。
《サードハンド》を自分の手にピッタリ重ねて、少女を圧殺せんとするガレキを持ち上げる。
《サードハンド》は、自身の両腕の筋力×2倍の影響力をもつ。
つまり、元々の両腕と合わせて、常人の3倍の力が出せることになる。
200kg前後あるであろうコンクリートの板なら、多少力は使うが持ち上げられる。
―――――――――。
少女「ふぃー……助かったぁ……で、条件って何?」
男「もう助けたけど……助けるために提示する予定だった条件は2つ」
条件@――記憶喪失の僕に、いろいろこの世界について教えてくれ。
条件A――身寄りのない僕のために、あれこれ働いてくれ。
少女「何それ……漠然としてるね」
男「仕方ないだろ。何でここが廃墟なのか、それすら僕は知らない」
少女「ふーん……記憶喪失ねぇ……」
「ザナドゥ――」
少女は、ふと呟いた。
男「おい待て、今ザナドゥって言ったか?」
少女「アハハッ! 食いついた。貴方みたいなヒョロガリが、あの重さのガレキを持ち上げるなんて無理だもの」
男「命の恩人に向ってヒョロガリとな?」
少女「ゴメンゴメン……で、貴方ザナドゥ使いなの?」
男「……ああ」
少女「打ち明けてくれてありがとう。実は私もザナドゥ使いなの」
幸先がいい、手がかりがひとつ。
少女「私の能力は……」
第1話 END
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