50: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/27(火) 18:50:56.49 ID:vmBYOszLo
#2−10#
「そこで二人とも正座してください。質問したいことがあります」
男はようやく悟った。
サードハンドは常人を越えたスピードとパワーがある。
だが……あくまで自分の意識で操作しているのだ。
自分の反射神経を越えた速度の攻撃にはまるで対応できない。
そして、男は戦闘訓練を一切受けていない。
軍曹と男のスパーは、実質、最初から決着がついていたということだ。
少女「軍曹さん。なぜ男さんを殴ったんですか?」
軍曹「い、いや……スンマセン……」
少女「ルール違反で、キスはお預けですね。そして男さん……私がバーを消火しました。近くに川があって良かったですね」
男「はい……」
少女は、この日で一番優しい微笑みを浮かべた。
少女「私のために争わせてすみません。悪いのは私です」
軍曹「い、いえっ……そんな、自ら罪を背負おうなんて思わないでください! 全てこのヒョロガリに責任があります!」
男「確かに勝利を急ぎ過ぎだな、俺……」
少女「ダニエル君。気に病まないでください。さあ! 聖堂を目指して出発しますよ! 軍曹さん、前方が安全か偵察してきてください!」
軍曹「はい!!」
軍曹が偵察に向うと、少女は小悪魔じみた笑みを浮かべる。
同じ笑顔でも、先程とは大違いだ。
少女「必死になっちゃって……私とそんなにキスがしたかったの?」
男「は、はぁ……?」
少女「……ガレキに潰されて死にそうだった私を助けてくれて、ありがとう……感謝してるんだから……」
男「はいはい。どういたしまして。で、今度はどんな手段で人心を惑わすんだい?」
少女「本気で感謝してるんだよ……じゃあ、これで信じて……」
少女は、男の頬に軽く口づけをした。
男「!? お、おまっ……」
少女「アハハッ。その反応はドーテー臭いを通り越して、いっそ新鮮だわ」
男「く、くそっ。バカにして……」
少女「クスクス……じゃあ行くわよ。歩きながら、軍曹の能力について説明しなさい」
男は思う。この少女だけは分からない、と。
どれが彼女の本心なのか、まるで分からない。
心臓の鼓動が止まらない。
いや、さっき不意を突かれたから、一時的に心拍数が高くなっているだけだ。
だからこれは吊り橋効果みたいなもので……。
僕が、あの胡散臭いのを好きになるわけがないじゃないか。
第2話 END
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