過去ログ - 小咲「バナージ君、私……」  バナージ「え……?」
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116: ◆7cAt74heiU[saga]
2014/06/01(日) 22:22:32.66 ID:1iKW8J7w0



千棘「すっごーい……。こんなに綺麗な壁画があるなんて……」

バナージ(いや……壁画と言うよりも、タペストリー、じゃないか?)

千棘「……『貴婦人と一角獣(ユニコーン)』だって、これ。レプリカらしいけど、いつか本物を見てみたいわね」

バナージ「ユニコーン……」


そう口にした瞬間、ドクンと俺の心臓が跳ねた。

何故かはわからないが、体中の血がざわめく。


千棘「あの絵の中にある、天幕の上に書かれた文字、あれどういう意味かな……。『A mon seul desir』……? 英語じゃない……フランス語? やっぱりダメだ、私には読めない」

バナージ「……“私の、たった一つの望み”……」
 

無意識に口にして、ぞくりと悪寒が走る。

読めるはずがない、知っているはずがないのに。


千棘「あ……あんた、あれが読めるの?」

バナージ「い……いや、俺はそんな……」


俺はそう答えたが、彼女は怪訝そうに眉をひそめるだけだ。

本当はわかっている、と俺は内心に呟いたけど、前にテレビや教科書で目にしたとか、そんな話ではない。

自分はこのタペストリーを知っているし、触れたことさえある。

ずっと昔、まだこのタペストリーの下端に手も届かなかった頃、誰かが自分を抱き上げて、ここに描かれた事々の意味を教えてくれたような……。




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