過去ログ - 京太郎「ステルスと」モモ「イーワンっす!」
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18: ◆GtptvnmL8c[saga]
2014/05/28(水) 21:34:21.11 ID:CpJdIksA0


【入学式】


(・・・・・)

桃子は新入生として入れた鶴賀高校の入学式に参加し、通過儀礼とも言われるこの式はなんの問題もなく進行して終わった。

(・・・・須賀くん・・・ううん、京太郎くん・・・)

桃子と京太郎は運良く同じクラスだった。
急いで教室に戻る。
廊下を走っても誰も注意しない、たとえ教師であっても、桃子には気付けないのだから。

「おう、モモ」

教室の扉の前に京太郎がいた。
勢い余ってぶつかりそうになるのを堪えながら正面に立つ。

「あ、あの・・・・京太郎くん・・・っすよね?」

恐る恐る聞いてみる。
世界に三人同じ顔をした人がいるという噂があるように、きっと彼も偽者ではないかとつい疑ってしまった。

「そうだけど・・・」

なんでこんな質問するのか分からないって顔をしていた。

(あーもう・・・私が聞きたいのはこんなことじゃないっす)

久々再会出来て―試験会場では会話無し―頭がパニックになってる。
沸騰しそうな頭を深呼吸して落ち着ける。
まっすぐ京太郎の顔を見る。
数年の年月のせいかいつの間にか京太郎を見上げなくてはならないくらいの身長差になっていた。
そんな些細なことに気付けた自分が少しだけ誇らしく嬉しく思ってしまう。

「えっと・・・わ、私のこと覚えてます?」

緊張のあまり、いつもの癖なんて忘れて喋っていた。
桃子は俯いた。
不安で張り裂けそうな心を必死に押さえつけながら答えを待った。

(うぅ・・・・こんな緊張するんだったら聞かなきゃよかったっす・・・)

心の中で後悔をしたそのとき、京太郎は桃子の頭に手をのせた。
別れのあの日の続きをするように優しく頭を撫でた。

「おう、覚えてるぜ」

桃子はゆっくりと顔を上げる。

「男は女を守るのが使命だからな」

「・・・・うえっ・・・うぅ・・・」

「お、おい・・・どうしたんだよ・・・・・!?」

桃子は京太郎に抱き、

「うわああああああああああああああああん」

間髪入れることなく泣いた。
京太郎は困り顔をしながら桃子が泣き止むまでその場から動けなかった。

(えへへ、やっぱり京太郎くんは私のことを見つけてくれるっすねっ♪)

高鳴る胸の鼓動は少しずつ速くなっていった―――。




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