過去ログ - 絵里「希と付き合うことになったけど、やだもうお家かえる」
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22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/29(木) 20:47:48.65 ID:d9oKBQfV0
希は、私から離れると、窓の外に視線を逸らした。

それから、彼女はぽつりぽつりと語り始める。
引っ越しばかりで、母親も頼れる人を作れず育児に疲れてしまったこと。
心身症を患い始めたのは、希が小学生の時だった。

その頃から、母親は宗教にのめり込む。占いや、心霊現象などと言ったオカルトにも手を出していった。
希も大いにその影響を受けて育った。

父親は、仕事が忙しいのを理由に、家庭をかえりみることをしなかった。
今もほとんど家に帰っては来ない。母のお見舞いに来たのも、何か月も前だという。

「やっぱり、目を離すと何するかわからんやん?」

小さく希は息を吐く。

「それで、この間みたいなことになったらしゃれにならんしね……ナースも昼間は看てくれるけど、いつもっていうわけやない」

「そうだとしても、父親に言うべきよ……希は、希の人生があるんだから」

「ううん、これも運命なんやと思うんよ……ああ」

希は時計を見た。

「時間や。もう行かな」

「の……」

「何も言わんといて。ね」

希は私の口を手で抑えた。それがあまりにも切なくて悲しかった。私は何もできないまま、希を行かせてしまったのだった。




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