過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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864:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/05/14(木) 17:38:01.44 ID:HykEPny/0

 陽乃さんは勝手に部屋に入って行ったというのに、俺がきょどっているのを見てニヤついて

いるだけで、先ほどの挨拶以降は沈黙を保っている。雪乃はというと、状況が判断できずに

様子見といったところだ。で、芸者のおっさんは俺をこのを見てはいるが、

俺の方が用件を言うのを待っている様子であった。

 だもんだから、事情が全く分からない俺が必然的に会話を主導しなければならなわけで、

ちぐはぐな言葉を紡ぐのがやっとであった。


八幡「あの・・・・・・、橘教授は不在でしょうか?」

男「ん?」


 おっさんは面白そうに終えを見ると口の口角を引きあげ返事をする。別に俺の質問が

おかしいってわけでもないだろう。橘教授が「不在ならば」適切な質問であるし、

教授の部屋にいる人物に教授の居所を聞くのが当然の流れである。

 訳がわからず陽乃さんを見ると、やはりニヤついたままで要領を得ない。ただ一方で、

おっさんの方も陽乃さんの方に謎の視線を送り、このおっさんの方には陽乃さんはけっして

関わりたくもないような意地が悪い笑みを送り返していた。


八幡「あの、橘教授はいつごろ戻るでしょうか?」

男「ああ、ごめん。その辺の椅子に適当に座って構わないよ」


 外見通りの陽気でちょっとだけ低い声が返ってきた。俺は座るべきか判断に迷ってしまう。

座ってろってことはすぐにでも教授は帰ってくるのだろう。だけど、どうもこのおっさんは

胡散臭い。見た目で判断するなとはよく言ったものだが、このおっさんに関しては見た目で

判断せざるを得ない。得体のしれない人を引き付ける存在感が俺を警戒させた。

 なんて俺がまたもや思案に暮れていると、陽乃さんは当然座ると思っていたが、

雪乃も椅子に座り、俺の為に雪乃の隣に一席用意してくれていた。


雪乃「どうしたの八幡? 座らないのかしら?」


雪乃は小首を傾げながら俺を見上げて聞いてきた。

もはや何も疑問がないといった表情が俺をさらに困惑させる。


八幡「いや、その・・・・・・」

雪乃「まだわかっていないのかしら? 姉さんに担がれたのよ」

八幡「は?」

雪乃「だから、あなたの目の前にいる人物こそが橘教授なのよ。ですよね? 橘仁教授」

八幡「えっ? この人が橘仁・・・教授?」


 俺は橘教授だと言われている人物を凝視してしまう。目は悪くはない方だと思うが、

何度見直しても俺が講義の時に見ているあの橘教授だとは思えない。橘教授といったら

濃紺スーツに黒ぶち眼鏡。それに七三にきっちりとわけられたいかにもっていう

日本人サラリーマンだぞ。それがこの軽薄そうな芸者のおっさん? はぁ?

 俺は急いで陽乃さんを見るが、先ほど以上にニヤついていて、もはや笑いが止まらないと

いった感じでさえある。これは触らないほうがいいと即断した俺は、当の本人たる橘教授に

視線を向かわせた。すると教授はすまなそうな顔をして頬を指でかいている。

ただそれでも笑い成分が四十パーセントくらいは含まれてはいたが。



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