過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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954:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/07/23(木) 05:21:21.33 ID:G6XbfMQl0

雪乃「でも……、携帯を探しても見つからなくて」

陽乃「だから私が先に八幡との待ち合わせ場所に行ったわけよね。

  もちろん雪乃ちゃんが私に先に行って欲しいとお願いしてきたわけだし」

雪乃「そうだけれど……、でも、携帯がなくて」

陽乃「そうね。私も私の鞄に雪乃ちゃんの携帯が入ってると思いだしたのは、家に帰って来てからよ」

雪乃「えっ? 本当かしら?」

 雪乃の訝しむ視線に陽乃さんは身をよじる事さえしない。お互い一切引く事をしない姿勢に、

真横で観戦している俺に、もろ余波をかぶせているけど。

陽乃「本当よ。思い出して御覧なさい。お昼携帯を使った後、雪乃ちゃん荷物が多いからって

  携帯を一時的に私に渡したでしょ? その時鞄に入れたのをそのままにしていたみたいなのよね」

雪乃「あっ」

陽乃「思いだしたようね」

 今回は陽乃さんの勝ちってことか? 雪乃も身に覚えがあるようだし、

最初からわざとやったわけでもないし、強くは言えないか。 …………ん?

八幡「陽乃、ちょっと待ってくださいよ」

陽乃「なにかしら八幡?」

八幡「大学の待ち合わせのところで、雪乃の携帯が壊れて機種交換してくるっていいましたよね?」

陽乃「ええ言ったわね」

八幡「でも実際は、雪乃は携帯を探していただけですよね?」

陽乃「まあ、そうね」

八幡「だったらなんで嘘をついたんです?」

陽乃「だって、…………だって」

八幡「あっ……」

 いまだに俺の腕を離さない陽乃さんの腕に本日最大級の力が込められる。

 この際雪乃の冷たい視線は後回しだ。

 なにせ俺の隣には震える視線で俺の判決を待っている陽乃さんがいたのだから。

 いつも自信たっぷりに引き締められていたその唇は、幾度となく言葉を紡ぐのに失敗し、

弱々しい吐息だけが漏れ出すことしかできないでいる。俺を掴む腕も、最初こそは力強く所有権

を見せていたが、今は俺に寄りかかるようにしがみついているだけであった。

八幡「大丈夫ですよ。俺は陽乃を嫌いなんてなりません。ちょっと悪ふざけが過ぎましたけど、

  きちんと雪乃に謝罪すれば、俺はあとは気にしません。むしろ俺は陽乃さんに振り回されは

  しましたけど楽しめましたし。だから、雪乃にだけ許しをもらって下さい」

陽乃「ごめんね雪乃ちゃん。少しの間だけでも八幡を独占したかったの。ごめんなさい」

雪乃「姉さん……。ええ、今回だけよ」

陽乃「ありがと、雪乃ちゃん」

 目を細め幼い笑顔を俺に見せる陽乃さんに、俺の手はその頭と頬を優しく撫でてしまう。

さらっさらの黒髪をすり抜け、みずみずしい頬に手が吸いつくと、陽乃さんはくすぐったそうに

頬と肩とで俺の手を挟みこむ。成熟した女性本来の美しさに、

あどけない笑顔がアンバランスに混ざり合い、俺の心は平静さを保てなくなりかけていた。

雪乃「……ねえ八幡?」

八幡「はい……」

 やっぱ雪乃さまは甘ったるい雰囲気をお許しにはなりませんよねぇ。



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