過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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990:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/09/03(木) 06:01:57.23 ID:DdbHCPdS0
陽乃「それに、雪乃ちゃんがもし八幡がそれらの食器を使う事で壊してしまうかもと
   心配するのであれば、最初から使わせていないはずよ」

雪乃「姉さんの言う通りよ。そもそも形あるものは壊れる運命だもの。それの値段が
   高くても、壊れるときは壊れてしまうわ。だから、値段の事なんて気にしないで、
   器の美しさとそれに盛られている料理に意識を向けて欲しいわ」

陽乃「それにね。せっかく八幡の為に料理を作ったというのに、愛情を込めた料理
   よりも、ただ値段が高いだけの器に興味を示すなんてひどいと思わないかな?」

八幡「たしかに二人の言う通りだ。俺が気にしすぎていたのかもしれない」

雪乃「ええ、そのようね。…………ほら八幡。このお茶碗なんてどうかしら?」

八幡「お、おう…………」

 口では気にしないと言ってはみたが、やはりお金を支払う前の商品ともなれば
緊張を捨て去ることなんてできやしないでいた。
 こんな事を言ってしまえば雪ノ下家に寄生するヒモだと罵られそうだが、
たとえ与えられたものであっても自分のものであれば諦めもつく。しかし。店で売られて
いる商品ともなれば当然の事だが自分のものではなく弁償せねばならない運命だ。
 つまり、他人のものは勝手には壊せないわけで……。まあ、自分の物であっても
壊したくはないが……、つ〜か、なんだか金額が飛びすぎて頭が回らん。
 やはり他人様には迷惑かけられんだろ。
 だから俺は雪乃の呼びかけに応じて、
おそるおそる手の震えをなかった事にしながら茶碗を受け取った。

雪乃「どうかしら?」

八幡「どう?と聞かれても……。まあ、絵柄はよくわからんがシンプルでいいんじゃ
   ないか? そうだな……、手になじむっていうか持ちやすいな、これ」

雪乃「そのようね。手になじむように作ってあるそうよ」

八幡「もしかして、この茶碗ってどっかの有名な焼き物だとか?
   俺そういうのはわからないから宝の持ち腐れだぞ?」

 おいおい、この茶碗。やっぱお高いだけあるんだな。

雪乃「どうかしら? ただ、そこのパネルに書かれている説明文を読んだだけなのだけれど」

 小首を傾げて俺を見つめるその姿に、思わず体のバランスを崩しそうになる。
 しかし、ここが高級食器売り場であることを瞬時に想いだした俺は、
すかさずバランスの回復に努めた。

八幡「あぁ〜……そう。まあ、そうだよな。うん、そんなところだろうと思っていたよ」

陽乃「どう八幡?」

 俺のボケなど気にもせず、陽乃さんはいたってマイペースで茶碗の感想を聞いてくる。
 やはり料理とくれば俺へのちょっかいも減ってしまうのだろう。
 だって料理は陽乃さんにとって神聖なものだし。

八幡「えっと、どれもこれも悪くはないといいますか、いいもの過ぎてどれでもいいと
   いうか。それに雪ノ下家で使う俺達専用の食器でしたら、今使っている来客用の
   食器でもいいですよ? ただ来客用の食器をいつまでも使うわけにもいかないか。
   だとしたら、それこそスーパーで売ってる食器で十分ですよ。俺のなんて」

陽乃「そうもいかないわ。お母さんがいるときにお母さんの機嫌を損ねるような食器を
   テーブルに置くことなんてできないわ。それこそ母への嫌がらせで
   したいというのならば止めないけど……」

八幡「そんな無謀な事できないってわかってて言ってますよね?」

陽乃「あら、そう?」

八幡「すっごく意地が悪そうでいて、なおかつ最高に機嫌な良さそうな笑顔を
   前にしてしまうと、どんな鈍感男でもわざとだと気がついてしまいますよ」

陽乃「そうかしら? でも、美人の笑顔を見られてうれしいくせに」

 だからぁ、ここは危険地帯なんですから、普段みたいに俺を腕でつついてこないで
くださいよ。あなたの魅力があふれまくっている体が俺に触れるたびに
過剰反応してしまうんですから。

八幡「そうですね。美人の笑顔はみたいですけど、
   俺の心が朗らかにしてくれる笑顔でしたら毎日でも見たかったですよ」

陽乃「…………そうね。ごめんね。お姉ちゃんちょっと舞い上がっちゃってて」

八幡「いやその、俺の方も言いすぎてすみませんでした」

 陽乃さんのしおらしい態度に俺の方が悪者になり下がってしまう。
 俺の予想ではもう少し陽乃さんがちょっかいかけてくると思っていたのに、
ましてや笑顔を曇らせるとは思いもしなかった。


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