15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/29(木) 19:52:54.07 ID:jPxrNCQ30
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そして日曜日。
天気も良く眩しいほどの太陽の下、僕と鷺沢の後ろをゾンビのような様相でついてくる荒木がいた。
ゾンビのよう、というのは髪もボサボサ、眼は虚ろ、歩くのも覚束ないような有様だ。
「うー……」
「比奈さん、大丈夫ですか……?」
「デッドラインを完全に忘れてたっス……脱稿明けで……意識が……」
「おい……大丈夫か、目の下のクマがえらいことになってるぞ」
まるで墨でも塗ったかのように窪んでいる。
荒木には失礼かも知れないがとてもアイドルとは思えない顔だ。
年に何回かこんな感じの荒木は見た事はあるが、同人活動とはここまでのものなのか。
「大丈夫っス……山は越えましたし、これくらいなら慣れっこっスから……ほら、今流行りの山ガールっスよ」
「越える山が間違ってる気もするんだが」
「それに古書いっぱいの書庫なんてこんな機会でも無きゃ行かないですし。平気っスよ」
「無理しないでくださいね」
対して鷺沢はいつも通りの緩やかな服に身を包んでいる。
鷺沢は基本的にお洒落というものをしない。
というか、知らないと表現するのが正しいかも知れない。
一度本人に問い合わせたところ、自分を見る男性なんていないと思っていたから一切そちら方面に対しては無頓着だったらしい。
警戒心ゼロというか、聞いただけで心配になってくるようなエピソードだ。
鷺沢ほどの美人なら夜道で襲われても不思議ではないというのに……。
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