24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/29(木) 20:06:20.37 ID:jPxrNCQ30
005
「ん、なあぁ!?」
「きゃあ!?」
木屑が破片となって宙を舞う。咄嗟の判断で鷺沢に覆い被さって事なきを得た。
頃合いを見計らって振り向くと、
「妹……妹萌え……スール……?」
そこには、恐らくは真剣であろう刀を両手持ちに構えた荒木の姿があった。
ぶつぶつと呟きながら虚ろで、飢えた獣のように血色ばんだ澱った瞳をこちらに向ける。
その様子が疲労で参っている荒木の外見と嫌にマッチしているのは今や皮肉でしかない。
「貴様ごとき身分の違う輩に……文香ちゃんは渡せないっス!」
「口調はそのままなんだな……」
まだ発現から間もないためか、完璧にトレース出来ていない。
ジャージで眼鏡の少女が日本刀を携えるその姿は、学園異能バトルものを連想させた。
「鷺沢、話の流れを!」
「えと、恐らくは台詞から比奈さんが武士の兄で、私がその妹です。最後のシーンは娘……私を賭けて歌舞伎役者と決闘するんですが――」
「文香ちゃああああん!」
「うわっ!?」
待ったなしで斬りかかって来る荒木は、とてもじゃないが少女の動きとは思えない程に俊敏かつ的確だった。
反射神経だけで避ける。
が、
「へへ……文香ちゃんは戴いた……っス」
「ん……んんー!!」
鷺沢が攫われていた。
片腕で鷺沢の口を塞ぐ形で抱えて、不敵な笑みを浮かべる荒木。
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