過去ログ - 咲「イったらおしおきだって言ったのに……」菫「す、すまん……」
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2014/05/31(土) 02:22:15.39 ID:VN+t8RBT0
「踏んでくれないか」
「え!?」
「顔を……」
彼女の顔に一瞬、驚きと軽蔑の色がさす。
「でも……それは……」
その声はか細く、困惑しているのがわかった。
私は黙って彼女を見つめる。
戸惑ってはいるものの彼女は私の願いなら何でも聞いてくれるという確信があった。
照との仲直りするためには私の協力が必要不可欠であることを、私を介さなければ照は話しすら聞いてもらえないことを私は知っている。
靴下をゆっくりと脱ぐ彼女。その動作の遅さから乗り気でないことがわかる。
靴下を半分脱ぎ掛けたところで手が止まった。
「やっばり、踏むとかそういうのはやめにしませんか?」
「そんな、今更」
「やっぱり、踏んだりするのは少し抵抗があるっていうか……」
「踏むだけだから、君は痛い思いなどしないぞ」
「そうじゃなくて、人の顔を踏むこと自体が……」
ここからやっぱりなしなんて出来るわけがないじゃないか!
「わ、私の気が変わるかもしれないぞ、照との仲直りの件」
自分の意思を介さずに口からこぼれ出た。
かすかに残った理性がやめろ! と大声を張っている。
「君も困るんじゃないか? 私の協力がなくなると」
彼女の顔をまともに見られなくて、ベッドの脚を見つめながらつぶやくように言った。
沈黙の時間。
私にとっては後悔の時間。先ほどの軽蔑を含んだ彼女の表情がフラッシュバックして、顔を上げることができない。
数秒の間だったが恐ろしく長い時間のように思えた。
耐えきれず少し顔を上げ、彼女の表情を盗み見る。
口角が少し上がり笑っているように見えた。
だがそれも一瞬のことで私の見間違いだったかもしれない。
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