過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/29(土) 08:57:45.93 ID:EhgpP1RP0
廊下に座り込んだ教師は両手で顔を覆った。目を閉じれば世界は闇に閉ざされる。
いつの間にか雨音がきつくなっているのを聞く。
この世界に教師はひとりきりだ。膝を抱えて俯いた教師はほんとうにちっぽけだった。どこまでも矮小で、惨めで、なんて下らない――自分。

「いいえ、先生はなにも間違っていません」

沈黙を切り裂いて、凛とした声がそう言った。顔を上げた教師に、扉の向こうの声は、ここを開けて下さい、と言う。
哀願するような響きを、教師は拒むことができなかった。

教師「……鍵なんて、はじめから掛かっていない」

言った教師の瞳に、ドアノブが下がって、ゆっくりと扉が開いていくのが見えた。

扉の向こうには、やはり少女が立っていた。

少女は教師を見て、切なげに眉をゆがめた。そうして少し笑ってみせた少女を、教師は放心したように見つめた。

濡れてほつれた髪はさらに光沢を増している。雨に濡れたセーラー服は肌に張り付いて下の色を透かした。生ぬるい雨のにおいに交じって、もっと生々しくて芳しい何かが漂った。

灰色の空の下で、少女の存在感はあまりにも鮮烈だった。
それを見て教師は、救われた、と思った。少なくとも教師はひとりではない。周囲の人間をすべて敵に回した教師にとって、少女は唯一の理解者だった。

教師にはそれだけで十分だったから、それ以上の思考が欠落してしまった。
そうして教師は深い考えもなく、少女を自分の部屋に上げた。

扉を閉めた少女に、ひとまず脱衣所でタオルを使うといい、と促す。脱衣所に目を向けた瞬間、玄関の鍵が掛かる音がしても、聞き咎めることもなかった。
ただ、部屋の中の惨状を思い出して、少女が身体を拭いている間に片付けなければ、と頭を掻いただけだった。



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