過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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243:名無しNIPPER[saga]
2015/02/12(木) 02:40:14.31 ID://0Asuli0
そうですね、と少女は考えこむ仕草を見せた。顎を押さえる、細くしなやかな指には、この近さでも節くれひとつ見当たらない。
薄暗い部屋に、少女だけがぽうっと仄白く光っているようだった。

そうして居住まいを正した少女は、落ち着いた声で質問を飛ばす。教師はそれに、ふわふわと芯の抜けた頭で答えていく。

少女「まずはあのクラスからにしましょう。先生はあのクラスを、どうご覧になっていましたか」

教師「あまりいい状態ではない、と思っていた」

少女「『いい状態ではない』、ですか」

教師「うん。そもそもあの学校は、教員と生徒の間が緊張している。どこにでも素行の悪い生徒は一定数存在するものだが、そうではない普通の生徒が、教員への反抗的な姿勢を剥き出しにする。そしてこの背景には、あそこ特有の校風が深く関わっている」

少女「『わが校は生徒の自主性を最大限尊重する』……」

教師「そうだ。私も嫌になるほど聞かされた。『自主性』、なるほど美しい言葉だな。しかし彼らは本当によく考えてそう言っていたのだろうか」

教師「彼らは『自主』という言葉を軽々しく使いすぎる。私からすれば、彼らにとっての自主とは、彼らが楽をするための方便のように見えた。生徒に好き勝手やらせて、自分たちでは一切責任を取らない――そのように」

教師「自主とは、野放図な無軌道を許可するということではない。だがこれは、生徒の行動を逐一監視せよ、というのでもない。生徒の意思は尊重されるべきだが、自由意志を認めるには彼らはあまりに幼い。ときには道を踏み外すこともあろう」

教師「つまるところ教員の責務とは、生徒が道を誤らぬように最善を尽くすことにある。生徒の主体性を評価する部分と、彼らの行動を監督し、指導を与えていく部分との整合を取らなければならない」

教師「『生徒の自主』とは、その矛盾する二つの間を、どちらかに偏らないよう、慎重に見極めながら進んでいくことだ。教員に要求される覚悟は並大抵のものではないし、生徒に自分たちの行動の責任を自覚させるのだから、生徒への負担も大きくなる。教育目標としては、たしかに申し分ないな」

教師「――彼らは理解していなかったようだが。さらに悪いことに、彼らはおとなしい生徒の前では強気なんだ。『自主性を育てる』と言った口で、本当に問題のある生徒は放置するのに、そうではない生徒に口喧しい。これでは、生徒もたまったものではないだろう」

教師「あの学校は最悪だな。あれより悪くなりようがない」



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