過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/06(日) 05:13:36.35 ID:OYnXFm4T0
反応を窺うような言葉を放った教師に対し、少女はあくまで笑みを崩さない。
先を促すように閉じられた唇はいつものごとく優美な弧を描き、かすかに漏れ聞こえる吐息の音が鼓膜を揺らす。どこからともなく匂い立つのは、頭がぼうっと痺れるような危険な甘さ。
――毒だ。理性をたやすく侵す、おそろしく甘美な毒……。
わかっていてもなお欲するだけの価値があるように思えた。他の何をなげうってでも、ただその視線を、肌を、声すらも独占したいと渇望させるそれ。

そう、この少女は己の無価値故に顧みられなかったのではない。もちろん、何らかの劣等により迫害されていたのでも断じてない。
男女の区別なく、また老若にかかわらず1人の少女の関心を買うことに躍起になり、それに成功したものを妬み、排撃する――それはもはや全なる女神への信仰に近い。
彼女の微笑みを賜った者は望外の喜びを得ただろう。一度でも、ただの気まぐれでも彼女の興味が己に向かうのならば、それだけでもはや人生の成就する、無上の歓喜に酔いしれることができるのだから。

しかしその恵みに預かれなかった敬虔な信者達は己の不運を怨み、世の不条理に憎悪するだろう。
自らに果実が与えられぬ苛立ちが、恐れ多さのために女神へは向かないとするならば、その行く先はただひとつ。至上の栄誉を手に入れた同胞であった。

教師が気付いたのは、水面下で空恐ろしくなるほどの闘争が繰り返された後のことだったらしい。
前任の担任すら巻き込んで疑心暗鬼がエスカレートしていき、入学式から1ヶ月足らずで牽制と制裁の跋扈が頂点に達した。そして唯一の解決として、聖域への不可侵こそが唯一にして絶対のルールとして暗黙の内に了解されるに至ったのだった。



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