過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 07:40:14.09 ID:Aa9KAwW70
さざめくような、けれどもどこか聞こえよがしな忍び笑いが漏れ聞こえる。
振り向けば、計ったように職員室の面々が首を巡らし、目を背けた。まるで当てつけのように気まずい雰囲気を醸される中、ただ一人、副担任だけがニタニタとした笑顔を教師に向けていた。

いや待て、と流されそうになる自分にストップをかける。本来不満を託つなら冷笑を受けていた教師の側であるべきで、ただ見ていただけの連中が何を当てつけるというのか。
一見理解し難い光景だが、この学校では日常茶飯のことだった。この学校では“集団”に属することが何よりも尊いとされ、しかもここでいう“集団”は固定されることがない。

先ほどまで親しげに笑い掛けていた相手でも、ひとたび“和”を乱せば即座に侮蔑の対象となり、罪人のような扱いを受ける。罪人は身を縮めて針の筵に甘んじて、新たな罪人が生まれれば、また晴れて集団に属し、強者の一員として弱者を虐げる。

そしてこの場合の“和”とは現状維持のことであり、それを逆立て、荒立てるような行為はそれだけで目を付けられた。

“生徒の自主性”の名のもとに己の行うべき職務さえも放棄し、同僚に対しては謂れ無き格差を醸成し、問題となるものをそもそも看過させ、なかったことにする。
それがこの学校の、『育てられるべき自主性』なるものの正体だった。

教師(病巣は深く、症状はあまりに重い……)

しかもこの病は繁殖に旺盛で、学校職員の全体を覆っていた。ため息をつくよりほかに手がない有り様だった。

いつまでも薄気味悪い笑みを浮かべる副担任から目線を切って、教師は自分のデスクに戻った。
とりあえずは残務処理に専念することにしたが、思考は上滑りするばかりだった。



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