過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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[saga]
2014/07/27(日) 21:12:32.69 ID:z9W9RmgV0
ところが、彼女は人を惑わす一方で、相手を誑かす意思はない。人であるならば誰しもが彼女を求めるが、彼女はそもそも誰かに身を委ねる意思を持たなかった。その様は教師に、闇に巣を張る女郎蜘蛛と、それに群がる虫々を思わせた。
教師(獲物を捕らえるくせ決して捕食せず、獲物が飢えに腐り溶けて死んで行くのを見ることもしない、残酷な支配者……)
この蜘蛛は自らの力によってではなく、天与の才として否応なく巣を張っている。
白銀にきらめく糸を放射状に織り成してできる端整な幾何学模様。獲物は蜘蛛を求めて近づき、知らぬ間に自ら糸に絡み取られていく。
それでも中心に向けてもがく哀れな獲物は、目の前に夥しい数の、同じく心を奪われた同胞が横たわって蠢いているのに気付くのだ。
彼らの望みはただ一つ、蜘蛛を一目でもその瞳に焼き付けることだけだった。
長い脚は黄と黒の鮮やかなコントラストで、毒々しさよりはその足先に貫かれる甘美な痛みを想起させる。あるいは遠目にも鋭く研ぎ澄まされた牙に切り裂かれることで、麗しき蜘蛛の血肉と成り果てるのも、抗いがたいほど魅力的だった。
欲望の命ずるままに同胞を押しのけ踏みつけて、彼らは互いに互いを喰らいあってもがくことを繰り返す。
しかし、と教師は思考する。
身を灼きつくすほどの衝動の果てに彼らを待ち受けていたのは、最初の地点からただの一歩も近づけていない絶望だけだったのだ。
彼女は常に独り、望まぬ巣の只中に独りであった。彼女は這いつくばって恨めしげに慈悲を乞い願う彼らに一瞥もくれない。
胸から心臓を掻き出して彼女に絶対の忠誠と愛を誓ったところで、それは彼女の望むところではない。
彼女の不興を買うことは全てを失うことにちがいなかったから、彼らにはもはや為す術がなかった。
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