過去ログ - 苗木「もし◯◯が黒幕だったら?」
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29: ◆j70fNS91Fs[saga]
2014/06/03(火) 00:34:50.65 ID:flcshOx00
貧相な劇場の舞台上、真上のスポットライトに照らされたセレスさんは、その舞台にふさわしい安物のソファーに腰かけている。
真上のスポットライトは、モノクマのお面を被った15人の男女たちに支えられていた。

グランドフィナーレ

人力で支えられているだけの不安定なスポットライトは、時折ギシギシと軋みながらその身を揺らす。
その揺れに合わせて、セレスさんを照らす灯りも不安定に揺れる。
しかし、それは落ちない。
何分、何十分、やがて一時間経過しても、スポットライトは一向に落ちてこない。
真下に座っている彼女は、頬杖をついて例の写真を眺めている。

二時間、三時間。四時間。
まだ落ちない。15人とはいえ、すでに人間の限界はとうに超えているはずだ。
しかし彼らは離さない。それを離せば、彼らの崇拝する彼女が死んでしまうから。
セレスさんは眺めていたその写真に飽きたのか、ポイッと床に投げ捨てる

十二時間が経過した頃、一人が堪えきれずに手を離した。
二人、三人と手を離し、その場に倒れこむ。
しかし、スポットライトはまだ落ちない。
セレスさんは手持ち無沙汰になったのか、足を組んだまま、大きなため息を吐いた。



ほぼ丸一日経過した頃、轟音によってボクたちは目を覚ました。
それが最初、頭にフルフェイスの帽子を被っているかのように見えたのは、スポットライトの笠がセレスさんの頭に被さっていたからだった。
ライトの破片と、頭から滲み出る血の海の真ん中で、セレスさんはひしゃげたソファーと共に横たわっていた。

上で支えていた彼らは、口々に謝罪の言葉を連ねている。
ボクたち6人の中に、セレスさんが死んだ瞬間を見た人はいなかった。

ボクたちの最後の学級裁判と、セレスさんの一人ぼっちのグランドフィナーレは、こうしていつの間にか終わりを告げた。


セレスさんの死体の近くに、あの写真が落ちている。
そこに写っていたのは、セレスさんの敗北が決まった時の、セレスさん自身が絶望した瞬間の表情だった。

終わり


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