過去ログ - 京太郎「俺がハンドボールをやめた理由」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/03(火) 23:21:33.73 ID:rxHh/dJO0

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 俺の中にある、“競技”への恨み。

 当然、それが八つ当たりであるということ位は承知している。俺の場合、裏切りは自分の不注意から来た怪我として表れたのだから、尚更だ。

 でも、それでもそう考えずには居られなかった。居られないのだ。心の中で渦巻く漆黒の感情をぶつける対象としては、自分と言う器は余りにも小さすぎた。

 どうやら、俺には善い人格というものが備わっていないらしい。しかし、それがどうだと言うのだろうか。

 性質が善であれ悪であれ、周りの目に映らないように隠してしまえば、どちらも大して変わりはしないだろう。
 
 そう、肉体という隠れ蓑を上手く扱えさえするなら、俺のカルマが悪の方に傾いていようが、別に関係なんてないのだ。


 俺は今、自分を裏切ったその“競技”からは遠く離れ、また別の道へと進もうとしている。

 裏切りの前まで見えていたあのレールの道とは、全く違っている道だ。その道の先は全く見えない。暗闇で覆われていて、一寸先に何があるのかさえ感知することができない。

 ただ、今の俺にはそんな状況も、なんだか心地の良いものに思えた。

 なぜならその闇は、漠然とした不安であると同時に、希望でもあるからだ。

 先が見えない道には、それだけの可能性が存在している。悪い可能性もあるだろうが、善い可能性もあるはずだ。

 いや、そもそもその道はただの一本道で、実のところ可能性なんて含んでいないのかもしれない。

 しかしそれを考慮しても、その先に善い可能性があると思い込むことは、俺の心にある程度の平穏をもたらしてくれるのだ。


 もうあの頃には戻りたくない。だから、俺はこれを選んだんだ。

 忌まわしいあの“競技”とは、まるで毛色の違うこれを。

 
 “麻雀”


 それは今の俺にとって、唯一心の拠り所とできるものだ。

 救い――そういっても、過言では無いかもしれないものなのだ。


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