9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/05(木) 18:50:31.77 ID:DNBJrAglO
「……くっ」
僕は邪悪な笑みを浮かべ、慎重を持して鞄を探る。
市原は何が出てくるのか警戒しているのかじりじりと身構え、こちらを睨みつけている。
猫は警戒心が強いのだ。
だがこちらも一歩も退かない。
市原への視線を外さずに、手の先の感覚を鋭敏にし集中する。
事務所の朝とは思えない緊迫感が流れていた。
満を持して現れたのは、中から先端にもふもふのついた疑似猫じゃらしである。
ペットショップで売っているアレだ。
いつか前川と遊ぼうと鞄に忍ばせていたのだ。
「……っ!!」
市原の身体がびくん、と一瞬だけ撥ねる。
眼が大きく開かれたのも見逃さない。
「ククク……さぁ、何処まで我慢出来るかな……?」
『ねこのきもち』になっている市原からしたらたまらない一品だろう。
今にも飛びついて来そうな勢いだ。
「う……ひ、ひきょうですよ暦! そんにゃもので、そんにゃもので……仁にゃをゆうわくしようだにゃんて十ねんはやいですよ!」
「クックック……ほーれほーれ」
「あ、あああ、あああぁぁぁぁ……!」
猫じゃらしを左右に振る。
それに対してもう我慢ならないと言わんばかりに身体を震わせて表情を蕩けさせる市原。
動くものに敏感に反応する猫の動体視力にとっては追わずにいられない筈なのだ。
さあ、来るがいい市原!
来たら速攻で捕獲してその喉や尻尾の付け根や首の後ろを思う存分撫でてくれるわ!
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