過去ログ - とある学生の雷神右方-Reincarnation-
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116: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/10/13(月) 01:20:16.42 ID:cLxLVLWz0

「……最期、トールに言えなかったことがあった」
「………」

『……俺、強くなるから。
 お前をこんな目に遭わせた奴ら全員ぶっ殺せるくらいに、強くなる。約束する』

「きちんと、泣かせてやれなかった。
 だから、歪んだ。そして、あんな風にこじれてしまった」

『約束、するから……、』
『とーる、』

今でもトールは、"あの日"を悔いている。

自分が孕ませなければ、自分が離れなければ。
或いは、出会いさえしなければ、
彼女は、あんな風に苦しめられて死ぬことはなかったのではないか。

そんな自分の罪悪感を誤魔化す為に、トールは多くの人を殺した。
『彼女と再会する』願いを叶えるためでもあったが。

「俺様は、トールを無力だとも、恨んだこともない」
「……多少の失望はあったはずだ」
「最期には間に合った。結果はどうあれ、助けに来てくれた」

『……、トールは俺様を助けに来てくれたんだろう?
 結果じゃない。過程が大切だと教えてくれたのは、紛れもなくお前だ。
 嘘をつかせて、すまなかった。お前を恨んだことなんて、一度もない。
 俺様は、最期まで幸せだった。傍に居てくれたら、それだけで満足だった。
 俺様が居なくなっても、死んでも、それがどんなに悲惨な悲劇だったとしても。
 それら全てを飲み干して、自分の人生を生きて欲しかった。俺様の望みは、きっとそれだけだったよ』

『助けようとしてくれて、嬉しかった』

"あちらの世界"の彼女が言った言葉を、思い出す。
それでも、罪悪感は拭えなかった。
目の前の彼女が言葉を補強して尚、受け入れられない。


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