過去ログ - とある学生の雷神右方-Reincarnation-
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[saga]
2014/08/21(木) 23:16:41.07 ID:ovA9n6VY0
ぬいぐるみ専門店とは意外にも退屈なものだ。
女性同士ならば恐らく楽しめるのだろうが、生憎ぬいぐるみには興味がない。
かといって人形コーナーは少し不気味だ。
喧嘩とスポーツは好きだが、ホラーは大嫌いなトールである。
割と短気な彼が、何故その退屈な状況に甘んじているのかというと。
「くまか……」
テディベアの耳をなでなでしている女の子の為である。
彼女は楽しんでいるのか、人形やぬいぐるみをあてもなく眺めている。
「……かっぱ?」
「…カッパだな」
かっぱのぬいぐるみは、どこか間の抜けた顔をしている。
フィアンマは首を傾げ、興味深そうにかっぱのぬいぐるみの皿部分をいじっている。
ぬいぐるみを見てもつまらないので、トールは彼女の表情を眺めていた。
可愛さに目を輝かせたり、内蔵の仕掛けに首を傾げたり。
表情豊かなその様は、彼女が『普通の少女として』送る事の出来なかった辛い人生を埋めるかのような。
「………、…」
頭痛がした。
今考えたことを思考から追いやると頭痛が消える。
やがて買いたいものが決まったのか、彼女は両手にぬいぐるみを抱えて近寄ってきた。
一対の兎のぬいぐるみで、時計を持っている。時計は本物らしく、底から電池を入れるようだ。
「長々と付き合わせてしまってすまなかったな」
「いや、それなりに楽しかったぜ。俺は俺で」
軽く返し、手を出す。
会計をする、という意味だったのだが、彼女には伝わらなかったらしい。
「ん?」
「払うから貸せよ」
「自分で買えるさ、気にする必要は」
「大した金額じゃないだろ。明日が誕生日なんだし、プレゼントって事で受け取れよ」
そこまで言うなら、と彼女はもごもごしつつぬいぐるみを手渡してくる。
時計が縫い付けられているからか、なかなかに重い。
店員が値段表と照合し、にこやかに提示してきた年齢はお世辞にも『安い』とは言えない。
とはいえ財布に入っている金額の七割で賄える。大したスケールではない。
「ついでにケーキも買って帰るか?」
自棄になった訳ではない。
預金残高と脳内相談を行った末の問いかけだった。
「いいや、ケーキは自分で作るのだが、食べてくれるか?」
予想外の答えだった。
もちろん、お誘いは嬉しいし、返事は当然YESだ。
「昨年は上条当麻とオティヌスと食べたが、それでも飽きた。
今年はアソートにしようと思うのだが、好きなケーキの種別はあるのか?」
………ちょっとだけ、理由は不明だがムカついた。
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