過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」その4
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21:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 03:44:33.64 ID:igNzDGpD0
――窓のないビル


「何故君は、あのような連中に好き勝手を許しているのかな?」

髪が後退した頭を撫でさすりながら、背の低い白衣の男がつぶらな瞳を巨大な試験管へと向ける。

「その質問に答える必要性を感じないな」

逆さまの男が言葉少なに返答。
純粋な肉声ではなく、頭に直接語りかけてくるよう。
試験管内は生命活動を維持するために必要な保護液で満たされていて、純粋な音声を伝達するのに適していない。

「治す技術で飯を食べている僕が言うのもなんだけどね。重篤な怪我人や病人が運ばれてくるのは、本当に嫌なもんだよ」


「今回の件では、そちらにかなり譲歩したつもりだが?」

「わかっている。ただ、単純に気にはなった。頭が誰より切れる人間が、計画がスムーズに運びようもない方法を選択する。
その理由が気にならないやつがいるかい?」

「…………」

「人の功名心、虚栄心や欲望を利用して、突いて、いったい何を作り上げようというのかね」

穏やかな物腰の中に潜むのは揺るぎない義憤。
なんの戦闘能力も持たずに、自分をこうまで威圧できる人間はそういないだろう。
消えゆく命を引き戻すために培われた技術と胆力がそうさせるのだろうか。
試験管の男、アレイスター・クロウリーはカエル面の医者、冥途返しの視線を静かに受け止める。


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