過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」その4
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30:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 04:27:01.30 ID:igNzDGpD0
床に叩きつけられた際に打ち付けたのか、インデックスの額からは薄らと血が滲んでいた。
ステイルが痛々しげに目を眇めるも、すぐさまその葛藤を呑み干し、突き放しにかかる。

「それ以上怪我をしたくなかったら上に戻っていろ! 病室で大人しく――いや、病院から一刻も早く遠ざかるんだ!」

「で、でもっ! ここにだって入院してる人は大勢いるんだよ!?」

「頼むから聞き分けのないことを言わないでくれ! 僕に――――僕にこれ以上君を傷つけさせるな!」

「――ッ!」

自分の口から飛び出した言葉に強烈な後悔を覚え、ステイルがインデックスから顔を背けた。

「……僕は、自分の非力と無知を言い訳に、君の記憶を奪い去った恥知らずの大馬鹿野郎だ。
この上君の身に何かあったら、今度こそ――」

自分を許せなくなる。決定的に。
全てが変遷したあの日、上条当麻がインデックスの自動書記を破壊しなければ。
ステイルは未だ彼女を追い立て、悪の魔術師という名の道化を演じていたはずだった。
上からの説明を鵜呑みにし、それが最善と信じてインデックスの記憶を破壊する。
そんな地獄を、この先何年間も続けなければならないはずだった。

上条への対抗心や苛立ちとは切り離して、その恩義は絶対的なものだ。
所属するイギリス清教の厳命を凌駕するほどに。
それが幼くして身を立てた魔術師としての誇りだった。
過去から未来に至るまで、過酷な運命を背負う少女の傍に寄り添おうとした男としての決して譲れないプライド。
ステイル・マグヌスにはこの場に留まる理由があった。
ライバル視している男がやってのけたことを、自分がやれないと認めたくなかった。


強い感情を秘めた懺悔を噛み締めるように聞いていたインデックスが、ゆっくりと立ち上がる。


「……初めて、あなたの本音を聞けた気がする」


ぽつりとそう呟き、ふいにその表情がふんわりとした笑顔に変わった。


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