過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」その4
1- 20
36:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 05:07:00.52 ID:igNzDGpD0
上条を上条たらしめし物。
一線を譲らなかった倫理観。
他者の命を奪うことへの忌避感情。その制圧に――――成功。
瞬間、薄青い炎にも似た魔力が上条の体、右手以外を余さず包み込む。

全身がさながら心臓のように大きく脈打ち、口元の陰影に内面の変容が顕在化する。
木原がよく知る、しかし上条をよく知る者であればそれを見て一様に言葉を失っただろう、酷薄な冷笑が。


「……はは、これはなんとも、素晴らしいじゃないか」

皆目不明な力に包まれ、打ち身の痣の色が見る間に薄らいでいく少年の様子に、木原が両腕を広げて驚嘆した。
目にしたことのない雄大な景色を歓迎するかのように。
上条の肉体を覆う未知の力と尋常ならざる回復力に、学者としての好奇心を刺激されているようだった。

「いったい何なんだね、それは? まだ隠し玉を持っていた、というやつかな?」

親しげにさえ映る木原の語りかけに、上条がこれといった反応を見せることはなかった。
今しもマイクロ波で全身の血液が焙られているようだったが、痛みは感じない。
思考は、冴えに冴えわたっている。


「先ほど雷を打ち消した能力といい、君の体もなかなか検証し甲斐がありそうだ。検体として協力を願い――」

「なあ、おい」


無遠慮に話を中断させられ、木原がやや不満げに目を細める。
口調の気安さに不可解さを覚えつつも、話だけは聞こうといった感じに顎をしゃくる。


今ならきっと問題ない。
生まれてこのかた覚えのない、感情の渦に身を任せる上条の口から、禁忌の言葉が紡がれる。



「目障りだ、死んでくれ」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
303Res/202.81 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice