3: ◆V8OfN8HM.Y[saga]
2014/06/12(木) 20:44:43.09 ID:Gy/NeX6u0
「あなたは…1年生の高坂さん」
理事長はその少女を見つめ、静かに呼びかけた。
その重たい空気に物怖じせずに、少女は続けた。
「…私はこの学校が大好きです。お母さんも、おばあちゃんも、ずっとうちは音ノ
木坂で…私もやっと音ノ木坂に入れて、ものすごく嬉しかったんです。」
「だから」
俯いていた顔を上げ、力強い声で言った。
「私が、いえ…みんなが好きなこの学校を無くしたくないんです!」
少女の声は講堂の空気を震わせ、共鳴し、広がる。
とても、15歳のそれとは思えぬほど、確かな響きで。
理事長は少女の主張を黙したまま聞き、一つ一つの言葉を飲み込むように
噛み締めていた。
そして一瞬表情を曇らせたが、いつもの調子で声をあげた。
「気持ちはとても嬉しいけれど…。現状、どうしようもないのです。」
「私もなくなることは悲しいですが…昨今の社会事情を見れば仕方ないことでしょ
う…?」
「理事長…」
少女は理事長の言葉の真意を汲み取ったのか、それ以上は何も言わず、静かに
座った。
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